次に、ペイメントセンターから、税務情報の送信手続きをしましょう。設定のリンクが階層の深いところにあり、非常に見落としやすいです。米国非居住者の場合、免税書類W-8BENを送信しないと、Googleからの入金が米国の源泉徴収で30%差し引かれた額になってしまいます。
IRSにITINまたはEIN取得申請(詳細略)
免税書類W-8BENに記載するため、IRS(The Internal Revenue Service:米国内国歳入庁)に個人はITIN(Individual Tax Identification Number:米国個人納税者番号)、法人等はEIN(Employer ID Numbers:米国納税者番号)取得の申請をする必要があります。
これは、Amazon Kindleダイレクト・パブリッシング(※日本国内向けのみなら不要になりました)や、Apple iTunes Connect(AppStoreやiBooks Store)を利用する場合も同じです。Amazonのヘルプに申請手順が載っているので、ここでは省略します。
- 個人の場合: Individual Taxpayer Identification Number (ITIN)
- 会社および個人以外の事業体: Employer Identification Number (EIN)
少しだけ補足。筆者はKDPを始める時に手続きしましたが、FAXで送信、エアメール受け取りで、3週間くらいかかりました。なお、IRSのFAX番号は2013年3月22日時点で 010-1-859-669-5987 でした。直前にIRSのお引越しでFAX番号が変わる(転送もされない)という騒動がありました。
また、ペンネームで活動している方は、「2. Trade name of Business (if different from name on line 1)」にペンネームをアルファベットで入力しておくことをお勧めします。iBooks Storeで配信する場合に、ここへ入力しておかないと本名がストアに出てしまいます。
なお、ITINは電話で申請すれば、その場で発行できるそうです。代行業者に頼むと数万円かかります。それほど難しくないので、上記のリンク先などを参考にして、自分でやってみるといいでしょう
税務情報の送信手続き
以下、ITIN取得済みの個人という前提で説明します。筆者の環境だと、Chromeではなぜか入力画面が自動でスクロールし続けてしまい非常にやりづらかったので、Firefoxに切り替えました。「支払いプロフィールの編集」画面左上の、[請求先プロフィール]をクリックします。
住所氏名などの登録済みペイメントプロフィールが表示されます。そしてここに[税務情報の送信]というリンクがあります。
筆者は、この解説記事のためひと通りスクリーンショットを撮ろうといろんなリンクをクリックしていたのと、KDPやiBooks Storeで同様の手続きを経験済みだったのとピンときましたが、普通はなかなか気づけないと思います。階層が深すぎます。要注意です。
ここから先は全て英語でした。質問形式で分岐します。最初の質問は「あなたは、米国市民、米国居住外国人、米国法人または米国パートナーシップですか?」というものです。筆者は日本に住んでいるので、ここは「No」を選択します。
次の質問は「あなたのビジネス状況に最もぴったり合うものを選択して下さい」です。Corporation(法人)、Tax-exempt entity(免税事業者)、Intermediary(仲介業者)ではないので、「Foreign Individual(外国の個人)」を選択します。
次の質問は「この製品による収益は、米国における業務と連結されていますか?」です。「No」を選び[次へ]をクリックします。
すると、W-8BENの入力フォームが表示されます。入力する内容は、KDPの場合と全く同じでした。手続きはオンライン上だけで完了します。
Part 1: Identification of Beneficial Owner (See instructions)
1. Name(名前)は自動入力されており、変更できません。
2. Country of incorporation or organization(会社や組織の所在国)はプルダウンから「日本」を選択します。
3. Type of beneficial owner(受益者の種類)は、筆者は個人事業主なので「Individual(個人)」を選択。その下の所在地・請求先情報は、自動入力されています。
6. U.S. Taxpayer Identification Number(米国納税者番号)にITINを入力します。ここで初めて「If you do not complete this section, Google is required to withhold 30% of your earnings to be paid to the IRS.(あなたがもしこのセクションを完了しないと、Google は IRS に(税金を)支払うためあなたの収入の30%を源泉徴収する必要があります)」と書いてあるというのが……こういった重要な情報は、もう少し目立つ位置にわかりやすく書いて欲しいものですね。
7. Foreign Tax Identifying Number と、8. Reference number(s) は空欄で構わないと思います。
Part 2: Claim of Tax Treaty Benefits (if applicable)
租税条約で認められる便益の申し立て(該当する場合) です。
「a. The beneficial owner is a resident of [ ] within the meaning of the income tax treaty between the United States and that country.(受益者は、米国と[ ]との間に締結された所得税の租税条約上の規定により[ ]の居住者です。 )」にチェックを入れ、[Japan]と入力します。
「b. If required, the U.S. taxpayer identification number is stated on line 6 (see instructions).(必要であれば、上記6に米国納税者番号が記載されています)」にチェックを入れます。
c.d.は法人の場合のチェック項目です。10. Special rates and conditions (特別な条件)は空欄で構わないと思います。
Part 3: Notional Principal Contracts
米国での貿易活動ではないことを証明する書類を提出するかどうかという項目です。チェックしなくでもOKでしょう。
Part 4: Certification
入力した情報が間違いないよ、という署名欄です。「Signature of beneficial owner」に名前を、「Capacity in which acting(署名者の資格)」には「CEO」とでも入力しておくといいでしょう。一番下の[送信]をクリックすると、W-8BENの手続きが完了します。
GooglePlayブックスで個人出版:記事一覧
- (0)そもそも Google Play ブックスってなに?
- (1)条件面やメリット・デメリットについて
- (2)まずパートナーセンターへ登録しよう
- (3)書籍カタログから新しいテンプレートを登録しよう
- (4)ペイメントセンターで銀行口座を設定しよう
- (5)税務情報の送信手続き(W-8BEN)をしよう ← 本稿はここ
- (6)販売管轄と通貨換算で初期設定は完了
- (7)販売・配信する書籍の情報を登録しよう
- (8)Google+を活用して書籍のプロモーションをしよう
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