『月刊群雛』2015年11月号には、くろまさんの小説『リアリストの苦悩』最終回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。
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作品概要
深雪と高矢は、遂に戻らぬ筈だった生まれ故郷に辿り着いた。20年以上前に姉の千草の遺体が発見された権現神社へ向かう中で、高矢は胸の内を深雪に告白し、彼女は高矢自身を信頼していると応える。
その直後、高矢に大きな変化がおこって当惑する深雪。そのまま二人はうらさびしい権現神社に辿り着いた。
物語はいよいよラストステージ。衝撃の展開と驚愕の真実。現実と怪奇が交差する! 駆け付けた伊ヶ谷が目にしたものは……?
リアリストの苦悩 この現実の果てるまで……
4話 夢果てるとも
東邦市から電車を乗り換えて、二人は遂に坂向に着いた。
駅のホームから出て、最初に声を出したのは深雪で、ここに来て妙なプレッシャーと闘っていた。それを振り払うように先に喋りたかったのだ。
「十何年ぶりかな、この駅来るの」
彼女も高校卒業後に家族と共に東邦市に移転して以来、ここに来ていなかった。
「高矢くんはもっと前だよね?」
彼は答えずに、とっととある方向に歩き出したので、少し遅れて彼女もつられるように後を追った。
歩きながら高矢は、決意を込めた口調で言った。
「深雪、これから君を驚かせるかもしれない。今のうちに言っておく……」
「何があるの?」
「何が何でも最後まで見届けて欲しいんだ」
「わかった、でも危ない事はしないでね」
深雪はこの時点で、彼が何かをするだろうとは覚悟していたし、町の誰かに復讐するのでは? と最悪の事も考えた。
その時は、身を呈して止める覚悟もした。今更見ぬふりは出来ないし、そうならわざわざここまで来なかったろう。
彼を犯罪者にしたく無いし、守れるのは自分しか居ないのだから。
「今までの君には感謝してるよ」
「何弱気なの? 私はあなたの味方よ、これからもね」
何かが起ころうとしている予感に、心が押し潰されそうな中で、努めて彼に笑顔を向けたし、高矢もそれに応えようとはしていた。
ところが、高矢は胸を押さえて、表情も苦しそうに歪める事が多くなってきた。
「大丈夫? 病院行こうか」
献身的な彼女に、彼も心を許したか?
「今なら言える、僕は深雪が好きだった」
「そんなコト知ってるよ」
「イヤ、」
そう言って深雪の正面に回って、
「アイシテル、んだ」
場違いな言葉だったかもしれない、でも高矢は本音を伝えたかった。
「それも知ってる」
思わぬ返事に高矢が驚いた。
その時今までの思い出が一瞬で彼の頭の中を駆け巡った。
「解ってるから、ここまで一緒に来たんじゃない?」
※サンプルはここまでです。
くろまさんインタビュー
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
名前:くろま
略歴:
個人ブログ(NAGOYA式)の更新頻度を落として、新たな小説サイトの立ち上げ準備をしています。
その小説サイトも、より独自性のある内容にじわじわ変更中。今後は小説とどう連携していくかが課題ですが、限られた時間で小説を書く機会を、増やせるよう工夫していきます。
◆小説サイト:『くろま流 × NEJIMAKI式 のべる』
http://kuroman.hatenablog.com/
概要:自作小説の公開の場・書籍販売の窓口
◆個人ブログ:『くろま流×NAGOYA式ブログ』
http://kuromaryu.hatenablog.jp/
概要:名古屋市を中心とした地方・全国の関連情報、雑記。
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
サスペンスと胡散臭い話が大好きで、人間ドラマ(現実)+怪しい世界(非現実)をミックスさせたものを書きたくて考え出したのが、この作品です。
今回最終話ですが、こう来るか! という展開よりもうーんと考えさせる最後を書きたかったのですが、いかがでしょうか?
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
スティーヴン・キングと『火曜サスペンス劇場』です。
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
都会では、人との絆や関係が疎遠になりやすいと言われていますが、都市に住む人ほど人との触れ合いに飢えているともいえると思うので、孤独だと感じる人たちにもぜひ読んでいただきたい。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
後半悩んで結局半年ほどかかったのは前回のインタビューでも触れましたが、実は群雛用にラストの展開を変えてあります。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
まずは、Kindleストアなどで本を出版してからですが、ブログやTwitterで宣伝をしていく予定です。
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
アイデアは時間がなくても作れますが、執筆時間が圧倒的に足らない事です。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
発売された翌日に購入した、村上春樹(むらかみ・はるき)氏の『職業としての小説家』です。
村上氏の本は生まれて初めて買いました。読むのも初めてですが、この本は実用書と考えれば、彼のノウハウがギュッと詰まったとてもよく出来た本だと思います。
それにこの本だけ読んで村上氏をどうこう言うのはファンの方に怒られそうですが、とても発想の柔軟な作家なんだろうな、というのが良くわかりました。
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
10月に公開した小説サイトの運営に始終すると思います。
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
とうとう連載も今回の「結」で全ての決着を見ます。果たしてサスペンスドラマ(風)の結末は? 主人公高矢は自らの人生にどう決着をつけるのか? 深雪は? 伊ヶ谷は追い続けた事件の結末に何を見るのか? 3者の人生の決着をぜひお楽しみください。
くろまさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2015年11月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。
インディーズ作家よ、集え!
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画など自らの作品をセルフパブリッシング(自己出版)している方々の活動を応援する団体です。コミュニティ運営、雑誌『月刊群雛』の発行、セミナーの運営などを行っています。
http://t.co/fGhoghLQ0R
— NPO法人日本独立作家同盟 (@aia_jp) 2015, 8月 20
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