『月刊群雛』2015年11月号には、加藤圭一郎さんの小説『現代日本の世界』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。
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作品概要
あるニートが自分自身の管理するブログに投稿しようとする下書き、という体裁の小説です。彼が考える現代日本の問題点を、あまりアクセス数のないブログに投稿します。「声の届かないマイノリティー」は何を考えているのだろうか。そういったものの答えの一つだと思っています。ある意味、意味はありません。現代のクリエータ的技術・技法・文脈において分析して承継された「商業小説」的なものに対しての批判的な意図も込められています。なので廃退的です。よろしかったら読んで下さい。
現代日本の世界
この世界には何もなかった。いや、私がそう感じていただけかもしれない。何もないというには矛盾するほどの物で満ち溢れている。こういう矛盾も私に何もなさを感じさせる一つなのかもしれない。どうしようもなく歪んだ世界が、社会が、空気が、人間がそうさせている。ともいえる。
私はここで生きているだけでやっとだ。簡単に言うと息をしてるだけで苦しい。みたいな感じ。それに加えて、私の目や耳に飛び込んでくる「情報」というのは、やれ「いくら苦しんでも働け」だの、「働けないなら無人島へ行け」だの、「時間があったら有意義なことをしろ」だのといったことだ。まったく、やれやれだ。生きること――息をすることがやっとなのに、切り詰めて生きろと言うのだ。おまけに年金やら公的支援は老後にはないということらしい。今の社会を作ったのはバブルを謳歌した、いい時代を知っている連中じゃないか。私達の「絶望の国」を作ったのさ。そいつらがそんなことを言うなんて唾棄すべきじゃないか。しかも彼らは自分たちの言うことには無責任で、逆に若者の私たちに自己責任論や精神論を押し付け儒教の精神でそれが更に強くなっている。そして、そういう言説もマーケティングに利用され「不安商法」や「貧困ビジネス」となる。金の亡者なんだろうな。奴らは。そんな彼らに抵抗するために私は働かないでいる。これも統計的に利用されていることは知っている。「自発的失業者」と分類され、労働人口には入らない。なので失業率の統計には入っていない。統計マジックだ。
精神科にかかっている人は傷病の統計に入る。しかし、精神病は精神論によって甘えだと切られて現実世界では事実上ニートとして扱われている。そして完治・寛解を問わず、働くことを求められ、さらに潰されていく。そういう、悪循環的なところも存在している。
※サンプルはここまでです。
加藤圭一郎さんインタビュー
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
加藤圭一郎(かとう・けいいちろう)といいます。
「表現者:加藤圭一郎」と呼ばれることもあります。寺山修司(てらやま・しゅうじ)や三上寛(みかみ・かん)の影響を潜在的にうけていて、小説、詩、音楽、ダンス、その他アートなど幅広く活動しています。
藝術サークル「Under The Sky」代表
マーチングバンド(Drum & Bugle Corps)にてカラーガード(旗などの手具のパート)とソプラノ・ビューグル(トランペットのような楽器)で、日本武道館、さいたまスーパーアリーナ、幕張メッセ、日産スタジアム等に出演。写真は個展を二回開催し、グループ展を主催・参加しています。また、即興演者として現代アート的な活動でソロ活動としてライブを中央線界隈で行っています(主にアートバア「無力無善寺」)。その他にサブカルオーケストラ、英国式ブラスバンドにトランペット・コルネットとして参加・活動しています。その他詳しい活動経歴はGoogle+の基本情報にて。
今年は無力無善寺で三上寛とライブで対バンを行い、「岩崎夏海クリエイター塾」二期に参加していました。
◆藝術サークル「Under The Sky」公式ウェブサイト:
http://underthesky.info/
◆Twitter:@tenku
https://twitter.com/tenku/
◆Google+:
https://plus.google.com/+KeiichiroKato65820/about/
◆Facebook:
https://www.facebook.com/keiichiro.kato/
◆ブログ:『自由人加藤圭一郎の活動と日記』
http://ameblo.jp/tenku65820/
◆所属オーケストラ:「Thanks!Kオーケストラ」
http://www.thanks-k.com/
◆所属ブラスバンド:「アートフリーダム・ブラスバンド(英国式金管バンド)」
http://air.ap.teacup.com/artfreedom/
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
現代日本批判ですね。いろいろな意味で。日本だけではないかもしれませんが。
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
村上春樹(むらかみ・はるき)です。彼は「無意識から着想を得ている」「無意識の奥には物語の鉱山がある」というようなことを「村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト」で書いていて、私もそれにもとづいてこの作品を書きました(どれだけできているのかは不明ですが)。なので、小説的なセオリーをあまり意識しないで書いている若干実験的なものです。
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
ロングテールを狙っています。前回の群雛への投稿と同じでターゲットは狭いです。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
「無意識」的なので難しいですね。実際に執筆していたのは3日位です。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
Twitter、ブログ、Google+、Facebookなど幅広く利用しています。
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
村上春樹が書いていたことですが、「無意識世界」に入ると「病理」が発生します。気温の変化や低気圧にも弱くなります。そういう体調面でのところで今回は辛かったです。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
村上春樹(ただ、あまり多くは読んでいないのです。これから読んでいきたいですね)
岩崎夏海(いわさき・なつみ)
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
できるだけいろいろ活動(書くだけでなく)をしていきたいと思います。目標というよりは行動あるのみです。
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
読んでいただけると有難いです。
加藤圭一郎さんの作品が掲載されている『月刊群雛』2015年11月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。
インディーズ作家よ、集え!
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画など自らの作品をセルフパブリッシング(自己出版)している方々の活動を応援する団体です。コミュニティ運営、雑誌『月刊群雛』の発行、セミナーの運営などを行っています。
http://t.co/fGhoghLQ0R
— NPO法人日本独立作家同盟 (@aia_jp) 2015, 8月 20
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