『月刊群雛』2016年05月号には、儚月響さんの小説『あたしだけしかいない街』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプル・著者情報などをご覧ください。
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作品概要
インフルエンザで一カ月、家で寝ていた女子高生。外に出てみて、自分が異常な状況に置かれてることに気づく。
―― みんなどこへ行ったの?
あたしだけしかいない街
「お母さん、もう平気だってば」
黄色い壁紙の自分の部屋でベッドから起き上がろうとする。
「あなたはインフルエンザなのよ。ほら、熱を測ってみて」
お母さんが体温計を差し出す。
「あたしはもう一ヵ月も家で寝てるのよ。もう治ったってば!」
あれ? 一ヵ月だっけ? 二ヵ月だっけ? 記憶があやふやで、いつから家で寝ていたのか、よく覚えてない。
貴人がよく電話をかけてきてくれたことは覚えてる。沙代里や希や千紗も。スマホで教室のみんなの写真を送ってくれたりしてた。
インフルエンザだから、誰もお見舞いに来てくれない。早くみんなに会いたい!
あたしは、お母さんが止めるのも振り切って高校の青いブレザー服、白いブラウスに赤いリボン、チェックのミニスカート、黒いハイソックスに着替えた。
鏡を見ると茶髪が根本から黒くなってプリン頭になってたけど、それくらいは仕方ないと諦めた。つけまとカラコンをして眉を書きファンデを塗り、赤い口紅を引いて完成。
プリン頭以外は、フツーの女子高生に見えると思う。
家を出ようとしたら、玄関でお母さんが仁王立ちになって立ち塞がった。
「外に出ちゃダメよ!」
あたしは学校で習った痴漢撃退術の合気道で、お母さんを投げ飛ばした。
廊下に倒れてるお母さんに「行ってきます」と声をかけ、玄関から外に出た。
しばらく歩いて、あたしは奇妙なことに気づいた。道で誰とも行き合わない。人が歩いてない。
今日は平日だから、サラリーマンや学生や小学生がたくさん道を歩いてる筈なのに……
激しい違和感を覚えながら、駅に向かって通学路を歩く。
駅前の信号が消えていた。クルマも一台も走ってない。街がシーンと静まり返ってる。何かがおかしい。
※サンプルはここまでです。
作品情報&著者情報
儚月響(はかなづき・ひびき)
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
愛とエロスを探求し続ける放浪の旅人。
酒とクルマと女のこと以外なにも考えてない。
前世はきっとイタリア人。
ホームページを開設しました。レトロ調でありながら、一周まわって新しいホームページを目指しました。お越し頂けると嬉しいです。
『Oracle182 儚月響のホームページ』
http://oracle182.x.fc2.com/
プロフィール画像は『ジュエルセイバーFREE』のフリー画像を利用しています。
http://www.jewel-s.jp/
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
なんか筒井康隆(つつい・やすたか)みたいなジュブナイル小説を書いてみたくて。言葉にすることが難しいです。
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
ダリオ・アルジェント監督、当時十四歳のジェニファー・コネリー主演の『フェノミナ』です。
昆虫と交信できる不思議な能力を持った少女を巡る殺人事件を描くホラー作品。
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
あまりターゲットというのは意識して書いたことがないです。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
三時間くらい。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
ホームページ、ブログ、Twitterです。
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
制作する上で困るような要因は一つずつ排除していったので、今はありません。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
オルダス・ハクスリー著『すばらしい新世界』自由と不自由が倒錯する未来の管理社会。ジョージ・オーウェルの『動物農場』と並ぶディストピア小説の名作。
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
あまり目標は決めず、ここ二年間はほぼ毎日、小説を書いて過ごしてきました。それをこれからも続けられたらいいな、と思います。
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
群雛に書かせて頂いたのも何かの縁と思います。よろしくお願いします。
儚月響さんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年05月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。
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