『月刊群雛』2016年01月号には、加藤圭一郎さんの小説『隠れ恋』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。
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作品概要
表向きな社会において彼氏や彼女を作るといった流れが主流になる中で、奥手な人がどんな恋の仕方をしているのかを一人称視点で書いた小説です。内向的で対外的に空気を読むというよりは、独自の世界で生きている人の話です。本来恋愛なんて人それぞれどんな形でもよかったものが、「コモディティ化」されているんじゃないか。という反主流というころでは、前回『月刊群雛』に寄稿したテーマと似ているのかもしれません。アニメ『秒速5センチメートル』のような美しさの足元にも及ばないかもしれませんが、「侘び寂び」をもった一人の日本人としてのあり方を示せたのではないかと思います。
―― 主流じゃない恋のあり方
隠れ恋
私は隠れて恋をする。現在の主流となっている恋愛の仕方とは違うかもしれない。「侘び寂び」とでも言えるものなのかもしれない。一時期『葉隠』の「忍恋」のような崇高なものだと内心では思っていたが、私の現実はそんな美しさを伴わない。
ただ、それに近いものだと私自身では思っている。セックスすることや彼氏・彼女を作るだけが恋愛のすべてではないし、それぞれに方向性やこだわりがあってもいいと思う。あらゆるものが多様化した現代社会で、「こうあるべき」に縛られる必要もないのだ。いや、もともと縛られるようなものでもなかった。
最近あった、登場人物の内心を表に表現した例を挙げると、魔法少女アニメで、裏主人公的な役割の思春期の少女が、不器用だけども一途さをつらぬこうとして、彼女が助けたい人との葛藤が描かれていた。この作品は劇場版で続編が出るほどの人気になっており、続編ではどちらかというと裏主人公的だった彼女の方が主人公的な存在になってしまっている。
他には、映画化され、最近書かれた児童英小説があるのだが、登場人物である、薬草学の先生で、過去に愛そうとして上手く行かなかった女性がいて、その一途さでもって彼女の子どもを陰ながら助け、複雑な葛藤を表に出さないようにしながら二重スパイを行い最終話で「悪の帝王」に殺されてしまう。小説内の伏線回収としての記憶の表現により、第一作目の評判からは考えられない好評価になってしまい、英国の人気投票でナンバーワンになってしまうことなどあり、こういった物語は実は現在では求められているのではないかと思っている。私の恋は作られた物語のようには美しくも、一途でもないが。
話を戻そう。小さい時から奥手で、隠れて恋をするのが習慣になって今もそうやって生きている。私は男性なのだが、よく「男性の恋愛は別名保存」などと言われる。実際、そうなのかもしれない。
思い出を他人に話すのはなんとなく恥ずかしい気もするし、必要以上に美化されているだろう。とはいえ思い出である以上美化したいという気持ちがある事自体は否定できない。
隠れて恋していたある人のことを今日は綴ろうと思う。私は高校の頃、Kという人が好きだった。彼女とは部活動が一緒だったのだけれども、5月ごろ階段の踊場で目が合ったのが、私の中で恋が始まった瞬間なんじゃないかと思う。しかし、あまり話すことはなかった。
ただ、目が合うことは時々あった。目が合うだけでとてもときめいたので、私は純粋だったのだと思う。
※サンプルはここまでです。
加藤圭一郎さんインタビュー
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
加藤圭一郎(かとう・けいいちろう)といいます。
「存在自体が過激なアート」と評されることもあります。魔ゼルな規犬(まぜるなきけん)や、喉(のど)らのミュージシャンとも関わりがあります。マーチングバンドに参加し、日本武道館などのイベントに出演。ソロ活動としては中央線界隈でストリートライブをすることもあります。
哲学道場に2009年より参加し、その道場的部分である「知的武闘派」の影響を受けており、ブロゴスフィアを形成する一人だと考えています。また、中島義道(なかじま・よしみち)氏の主催する哲学塾カントにも籍を置いています。
2002年より詩を書き始め、TASKE(たすけ)氏の主催する「歌舞伎町詩人の集い」に参加しています。また、詩集『K/K=1 青春の詩集』をAmazonで自己出版しています。絵本の読み聞かせや即興詩などもライブで行うなど、ダンス、写真など幅広く活動しています。
藝術サークル「Under The Sky」代表。
◆藝術サークル「Under The Sky」公式ウェブサイト:
http://underthesky.info/
◆Twitter:@tenku
https://twitter.com/tenku/
◆Google+:
https://plus.google.com/+KeiichiroKato65820/about/
◆Facebook:
https://www.facebook.com/keiichiro.kato/
◆ブログ:『考えたことについて書いていく』
http://cdr65820.hatenablog.com/
◆所属オーケストラ:「Thanks!Kオーケストラ」
http://www.thanks-k.com/
◆所属ブラスバンド:「アートフリーダム・ブラスバンド(英国式金管バンド)」
http://air.ap.teacup.com/artfreedom/
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
何か現状打破したいというようなそういうところです。また、前回寄稿と同じく村上春樹(むらかみ・はるき)的なアプローチの模索も制作のきっかけになっています。
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
村上春樹
岩崎夏海(いわさき・なつみ)
唐辺葉介(からべ ・ようすけ)
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
彼氏彼女を作るような恋愛観が嫌になっている人、ロングテール。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
応募から考え始め締め切りの日に書いています。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
Twitter、Google+、Facebook等のSNS。
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
調子が悪い時は書けないことですね。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
村上春樹
岩崎夏海
唐辺葉介
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
※詳細はリンク先をご参照ください
・TASKE企画
2016年1月30日
「歌舞伎町の詩人達の集い -新春・猿になろうぜ昼夜ぶっ通しSPECIAL 2016-」
https://www.facebook.com/events/1670999106474116/
・魔ゼルな規犬企画
2016年2月7日
「.゚・*..・゚新 迷 信 5 .゚・..*・゚ .゚・*(呼びかた自由!)」
http://8430.teacup.com/mazerunaki/bbs/1410
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
読んでいただけるとありがたいです。
加藤圭一郎さんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年01月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。
インディーズ作家よ、集え!
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画など自らの作品をセルフパブリッシング(自己出版)している方々の活動を応援する団体です。コミュニティ運営、雑誌『月刊群雛』の発行、セミナーの運営などを行っています。
http://t.co/fGhoghLQ0R
— NPO法人日本独立作家同盟 (@aia_jp) 2015, 8月 20
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