小説『猫じゃらし』が『月刊群雛』2016年01月号に掲載! ―― 作品概要・サンプルと來岳透さんインタビュー #群雛

作品情報&著者情報
『月刊群雛』2016年01月号

『月刊群雛』2016年01月号には、來岳透さんの小説『猫じゃらし』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。

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作品概要

 中年男と若い女と子猫、ツーリングとロック・クライミング、現世と異界との間に扉が開き、のっぴきならない状況に。

―― 今夜から魔性の猫に仲間入り

猫じゃらし

 単独でツーリングに出かけて道に迷った挙句、運悪く日没に出っ会でっくわしたりすると、異界にでも迷い込んだ想いをするものだ。親父といわれる歳にさし掛かった独身の都筑つづきはじめは、久方ぶりに3日間の休暇を取得した。さして座り心地のよくない、管理職の椅子にもなんとか馴染み、冗談をいうまでになった肇だが、妻帯者ばかりの同僚や部下に、なんとなく自分とは異質なものを感じ、気後れがしてしまうのだった。
 肇の住まいは、蔦が絡みつき苔むした、いかにも何かが出そうな洋館だった。軒先からガーゴイルが睥睨へいげいする様は、新参者を慄え戦かせるには十分すぎた。不動産会社の担当氏によると、山中にあった洋館の周りは徐々に開発が進んで高級住宅が建ち並び、一大ベッドタウンに変貌してしまったのだという。曰くつきの物件らしく、他の住宅が遠巻きにする中、鬱蒼と茂る樹木が建物を覆い隠し、洋館の存在を外部から隠していた。誰もが敬遠していたのを、これ幸いと肇が格安で買い取ったのだった。気味が悪いといってしまえば、それまでのことだが、肇のような変わり者にとって、精神を鍛錬するにはもってこいの住まいだった。
 この際、会社の煩わしい諸事万般を脳裏から追い出し、独りツーリングに出かけるのが一番の気晴らしになるだろう。そう思い立ったら、高校生の頃の血が騒ぎ出し、肇は休暇初日に早々と起床、愛車のDucatiドゥカティを調整し始めた。田舎住まいの両親に余計な心配をかけまいと思いながら、肇はモーターバイクでのツーリングを止められなかった。事故に遭遇したら、普通乗用車の何層倍も単車の方が危険なのは承知していたが、こればかりは譲れなかった。
 長身にして容姿端正な肇なら、異性の一人や二人はいそうなものだが、周囲からは艶っぽい話は聴こえてこない。なんでも数年前、交際つきあっていた時岡ときおか柚子ゆずと二人でロック・クライミングに出かけて事故にい、柚子を失った痛手からまだ回復していないのだという。

※サンプルはここまでです。

來岳透さんインタビュー

來岳透

―― まず簡単に自己紹介をお願いします

1.名前: 來岳透(きたおか・とおる)
2.略歴: 1943年生まれ。北海道出身。中堅証券会社をはじめ、十数社を転職、8年前に中堅メーカーの子会社を定年退職。
3.代表作: 長編『アダムの肋骨』、短編『丘』他3篇。
掲載サイトは、http://p.booklog.jp/users/tohr

―― この作品を制作したきっかけを教えてください

 書き貯めた、瓦礫同然の140字小説を活かせないかと考えたのがきっかけです。

―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 直接的にではないですが、『宇宙船ビーグル号の冒険』(アルフレッド・エルトン・ヴァン・ヴォークト著、創元SF文庫)、や『エイリアン虚空の影』(ティム・レボン著、竹書房文庫)、ほか内外のホラー、SF作品など。

―― この作品のターゲットはどんな人ですか

 年齢・性別をとわずホラー・ファンです。

―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 1週間です。

―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 作品を電子書籍サイトに掲載し、3、4日おきにツイッターで呟いています。

―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 どの程度、事実らしく書けるか――詰めの甘さがなんとも辛いですね。

―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 注目している作家はチャイナ・ミエヴィルです。

―― 今後の活動予定や目標を教えてください

 長編と短編1作ずつ書き始めました……前途遼遠です。

―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 大長編にたじろがず、読書欲旺盛になってください。

來岳透さんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年01月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。

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