かわせひろし『太陽のホットライン』連載第3回作品情報&著者情報(『月刊群雛』2016年05月号掲載)

作品情報&著者情報
『月刊群雛』2016年05月号

『月刊群雛』2016年05月号には、かわせひろしさんの小説『太陽のホットライン』連載第3回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプル・著者情報などをご覧ください。

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作品概要

 太陽と光は小学五年生。プロサッカークラブ柏レイスターズのU‐12セレクションを受け、太陽は合格、光は不合格と、明暗が分かれた。大の親友だったはずなのに、その日からどこかぎくしゃくするようになる。さらにレイスターズ入りした太陽は、そのレベルの高さにやられてしまい……! 苦難の続く、連載第三回!

―― 夢を追い続ける本格少年サッカーストーリー

太陽のホットライン 黄色のサッカーボーイズ

「え?」
 太陽たいようは聞いた言葉が信じられなかった。
 何か聞きまちがえたんだと思った。
 でも、ひかるはとまどう太陽に、もう一度告げた。
「おれはだめだったよ。不合格の知らせだった。太陽は受かったんだね。おめでとう」
「ええっ、そんな! おれが受かってるなら、光だって受かるはずだよ! だって、光の方がおれよりうまいじゃん!」
 太陽は思わず大声を出した。なぐさめで言ってるんじゃない。本当にそう思ってる。太陽が知っている一番うまいサッカー選手は、光なんだ。
 光はさびしそうに笑った。
「ありがと。でも、落ちたのはもう、変わらないから……。ごめん、今日は遊ぶ気になれないや。また明日ね……」
 とびらが閉められた。太陽はその場に取り残される。
 光が落ちた?
 そのことがどうしても飲みこめずに、太陽は立ちつくすままだった。

 次の日の朝。いつものように、光の家に向かう。
 昨日の今日だ。どういう顔をして会えばいいんだろう。なぐさめるのはしつこいし、自分は受かったからって、と思われるかもしれない。でも、何にもふれないのも不自然だし……。
 迷いながらも、インターホンを鳴らす。
 出たのは光のお母さんだった。
「はーい。あれ、太陽君、いっしょに行ったんじゃなかったの?」
「え?」
「サッカーするって、いつもより早く出たの。太陽君とするんだと思ってたんだけど」
「……ううん、聞いてない」
「あら、めずらしいわね。じゃあだれと、しに行ったのかしら?」
 太陽はびっくりした。何か委員の仕事があるとかでもないのに、光が太陽を置いて先に学校に行くなんて初めてだ。
「そうそう、太陽君は合格したんだよね。おめでとう! 光は落ちちゃったけど、あの子の分までがんばってね」
「う、うん、ありがとう」

※サンプルはここまでです。

作品情報&著者情報

 こんにちは、かわせひろしです。『太陽のホットライン』第三回をお送りしました。いかがでしたでしょうか。お話は全五回のうちの折り返し地点。太陽に苦難が襲いかかる回でした。
 今回はそんな主人公、太陽君がらみの裏話を。
 柏レイスターズのモデルは、柏レイソル。レイソルは太陽王という意味です。そこに入る男の子だから太陽、というとても安直な名付けなのですが。
 それを閃いてから、「あれ、でも本当にいたよな」と気づいたのです。
 古賀太陽君。柏レイソルU-18に所属、下の年代の日本代表にも呼ばれている、期待の星です。今年のトップチームのキャンプにも呼ばれていました。さらに、U-18には、もう一人鯰田太陽君がいるのです。アカデミーに先輩の太陽君が二人も!
 春日太陽君は小説のキャラクターなので、僕が入れると決めれば入れるわけですが、現実にいるのはすごいです。これでご両親がレイソルサポーターだったら、もう運命という感じですよね。
 はたしてリアル太陽君はトップチームに昇格するのか。かなり楽しみにしているのです。

かわせひろし
かわせひろし

 漫画家として活動し、『ケッタ・ゴール!』(ポプラ社刊)連載後、小説家に転進。第十一回ジュニア冒険小説大賞を取って、『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』(岩崎書店刊)でデビューしました。
 セルフ・パブリッシングも同時に進めていて、E☆エブリスタさんで『君の守護者』を連載しています。

◆ブログ:かってに応援団
http://ouendan.cocolog-nifty.com/blog/
◆Twitter:
https://twitter.com/kawasehiroshi/

かわせひろしさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年05月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。

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